習い事がある生活

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空手教室で起こったクーデター

我が家の小学校5年生、11歳になる長男が、空手を習い続けて5年になります。空手の練習は時にきついものですが、そのきつい鍛錬を乗り越えてこそ、人生の中で様々な試練に打ち勝てる、強い精神を身につける事が出来る、と親である私は思っています。そんな願いを込めて子供を空手教室に通わせています。

子供を空手教室に通わせる親は、どちらかと言うと個性が強い人が多い様に感じます。私が住んでいる地域の独特な特性というものもあるのかもしれませんが。親同士、付き合いを重ねていくと、どうもその素性は元ヤンキーだったような親も多く、なかなか自己主張が強い人が多いのです。

そんな環境で親同士の付き合いをしていくのは割と大変な事。空手教室の運営方針に気に入らない事があると、他の親の同意をたくさん取り付けて、自分の意に沿うように道場主やコーチの意向を変えさせようとする人すら出てきます。

夜に保護者同士、集まって飲み会をしようというお誘いは大抵、空手教室内で不満を持つ親が主体となって集まり、他の親の味方をたくさん得ようとする思惑があったりするのです。そんな親同士の思惑を見抜くのは本当に大変です。あまり自分は余計な事に巻き込まれないようにいつも気をつけています。

親の不満から一変、事態は思わぬ方向へ

しかし、事件はやはり飲み会の席で起こったのでした・・。最初はただの保護者同士の懇親会という名目で開かれたので、参加した親はみんなで和気藹々とお酒を飲んだり美味しい料理を食べていました。けれども一人の親が道場主に対する不満を言い始めた事をきっかけに、飲み会の雰囲気は一変したのです。

どうも道場主が特定の子供を特別扱いしている、という不満を持つ親が数人いた様で、彼らは口々に道場主の不満を大きな声で言い始めました。するとそんな不満に一人、また一人と同調する親が出てきて、最後の方は飲み会に参加している親がほぼ全員、その不満に迎合するような雰囲気になってしまいました。

なんとその数は30名を超え、空手教室の半分くらいの人数になってしまったのです。そして、驚愕にも飲み会の締めくくりでは、この空手教室に大切な子供を預ける事は出来ない、だからこの空手教室を辞めて、他の空手教室にみんなで移籍しよう、という所まで話は発展しました。

なんとその移転先として挙げられた空手教室は長年、私の子供が通っている空手教室のライバル的存在の所だったのです。いくらお酒の席だからと言って、その話の展開はあまりにも拙速だと私は思いました。そして何かそこには単なる親の不満ではなく、変な思惑が働いていると感じたのです。

思い切ってコーチに相談するが

これはただ事じゃない。私はそう思い、教室の分裂騒動をコーチに相談しました。けれどもそのコーチはどこか私の話を上の空で聞いています。自分がコーチを務めている空手教室が分裂の危機にあるというのに、何か真剣味が感じられません。

移籍しようと鼻息が荒い親御さんの子供の中には、この空手教室では主力選手にあたる子さえいるのに、それをコーチは危機と感じてはいないようです。私はこのコーチに相談をしても無駄だとその時感じました。

結局、空手教室に不満を持っていた人たちは、その後ライバルである教室にごっそりと移籍して行きました。そしてなんと驚いた事に私が相談をしたコーチも一緒に移籍したのです。しかもそのコーチは移籍をしたとたん、その教室では教室の主宰に就任しました。

後から知った話ですが、私の子供が通っていた空手教室から、主力選手を引き抜く事を条件に、その空手教室の主宰に就く事を約束されていたようです。これは完全にコーチのクーデターですね。その事実を知った、残された選手やその父兄は本当に激怒しました。

クーデターを起こしたコーチが赴いた教室は長年のライバルです。定期的に交流試合も行なっています。もちろんそのクーデター後も定期行事として交流試合は行われる事になりました。

恨みや悔しさは全て試合でぶつけろ

残った選手である子供たち、その父兄、そして何よりもコーチに裏切られた道場主は、次の交流試合では『何が何でも打ち勝ってやる』とみんなで心に誓い、連日厳しい練習に臨みました。中には空手教室の練習では足りず、学校から帰ってきた後も自主的に練習を積んでいた子供もたくさんいたほどです。

そしてついに交流試合当日、空手教室の選手、父兄、そして道場主は完全に一致団結しています。選手の目には絶対に勝つという気持ちが現れていました。試合が始まると、一人、また一人と私達の選手は見事な勝利を収めていったのです。

勝利の歓喜をあげると、相手方の教室は逆にだんだんと意気消沈していくのが分かります。結果、なんと私たちの空手教室はほぼ完全勝利。私たちはクーデターを起こしたコーチやその父兄に、見事一泡吹かせる事に成功したのです。

それからしばらくして、ライバル教室に移籍した子供たちが数人、私たちの空手教室に戻ってきました。どうやら、移籍をしたのは彼らの本意ではなかったようです。コーチや一部の父兄にそそのかされて移籍を決めてしまったとのこと。

けれども移籍をして新しい教室に行ってみたものの、教室をきちんと運営しきれない主宰に嫌気がさし、何人かの主力選手は戻ってきてくれました。

もちろん、道場主も選手である子供たちも、そして私たち父兄も戻ってきてくれた選手を温かく向かい入れました。この時、私たちは心の底からコーチのクーデターをみんなの一致団結した力で撃破したと思えたのです。